おいしく食べてほしいと作る料理には、調理する人の食べる人に喜んでもらおうという心が込められていると思います。

 それに対し、『おいしかった!』、『ごちそうさま!』、という言葉が作った人の気持ちにどれだけ報い、また作ろう、また喜んでもらおうという気にさせるでしょうか?

 そしておいしい心のこもった料理を食べた人をして、またもう一度食べてみたいという気持ちにさせることになるのではないでしょうか?

 医療もまったく同じなのではないかと考えています。

 患者さんの病状を我が身に起きているがごとくになぞらえ、為すべき治療をして、歯に関わる健康を獲得し、本当の意味で治療を受けてよかったと思っていただく。

 そこから生まれる患者さんの感謝の気持ちが、医療人にとって如何に嬉しく、報われることであるかは、決して簡単に言葉だけでは表現しきれないものがあります。

 而して患者さんがまた私共のところに、時間を作り足を運んで、嫌な歯科治療を受けようとしてくださる・・・

   このような繰り返しこそが、『喜んでもらうこと』から発した医療人と患者さんとの関係を次につながらせしめ、さらにその可能性を大なるものにしていくのではないかと考えています。(大)