皆さんは、はさみをどのように使いますか?

DSC01585

 経験的に、たとえば硬い厚紙を切るとしたら、刃の根元の方を使うでしょうし、切り絵のように力を必要としない、細かい作業であれば、刃の先の方を使うと思います。

 なぜなら、刃の根元に近づく(支点に近づく)ほど強い力が生まれ、刃の先に近づく(支点から遠ざかる)ほど弱い力になるからです。

 上下顎骨と顎関節を側方から見たときの絵と、はさみの構造が酷似していることをご存知でしょうか? ここで説明したいことは、臼歯部では強い力が、前歯部では弱い力が発生するということです。

 歯にとって負担となる力は側方力であり、安全な力は歯軸方向にかかる垂直的な力です。さまざまな顎の動きによって生まれる、側方力は弱い力で済む前歯部で、垂直的な強い力は臼歯部で、担当することが理にかなっているのです。

  歯を含む口腔領域全般に、損傷を与える恐れのある、原因を作らないためにも、単純、明快な力学の応用は、たいへん価値のあることではないかと思いますが、いかがですか?(大)