歯と歯の間が非常に狭く、X線検査でも2本の歯が、ほとんど接触しているように見える場合があります。

 歯が転位する(歯列の外に位置する。)ほどではない、顎の劣成長で歯の巾の合計が大である、ディスクレパンシー (不一致。相違。)に相当します。

 隣り合った歯根の間の、歯槽骨にフォーカス(焦点。)を当ててみたいと思います。細いガラス管と太いガラス管にはいった、同じ高さの水が同じ量(ml)だけ減ったとき、細い方が急激に高さを減じる、理科の簡単な実験があったかと思います。

 その部分の歯槽骨は両側の歯根を支持する組織であり、その視点からすれば骨量が多い方が有利で、少ないとわずかな炎症因子の侵襲で、短期間に吸収してしまいます。ルート プロキシミティー(歯根の近接。)といって、歯周病に対する抵抗性が低く、歯周治療におけるチェック ポイント(確認要点)になっています。

 また歯と歯の間が狭いと、プラーク コントロール(歯垢抑制)、自浄性、さらに修復治療の操作性においても、困難を伴います。 

 以上のような場合に、わずかでも離開させることで、さまざまな問題への対処が容易になり、臨床的に非常に有効です。 ただし、隣接する組織との兼ね合い、審美性等、条件に限りがあることを付け加えなければなりません。(大)