今回は、1歯中間欠損における補綴設計のうち、インプラントの解説です。インプラント(Implant)とは直訳では”移植”ですが、人工の歯を埋め込むことや、その歯を意味します。

 欠損補綴にあたっては、なによりも残っている歯(残存歯)に負担をかけないように考慮するという、コンセプト(一貫した視点や考え方。)で治療すべきであるという話は既にしました。その点で、これまで解説した義歯やブリッジに比べ、このインプラントが卓越して残存歯への負担がないと言えます。

 その理由は、現在主として使われているチタン製のインプラントは、それだけで独立して咬合力を受け止めることができ、まるで健康な歯が甦ったかのように歯を入れることができます。

 だれでも好きで抜歯になったわけではない筈ですが、残存歯に頼ることなく失われた部分の歯を復元することができるのが、現在のインプラントであり過去のものはそうではありませんでした。

 義歯やブリッジでは長い目で見たとき、負担によって歯が持たないリスク(危険)を常に伴いますが、適切なインプラント治療により、以後それ以上、抜歯を出さない可能性を大なるものにします。

 この患者さんを救う、夢のようなできごとの実現を可能にさせた秘密が、実はチタンという物質と、ヒトという生体との『親和性*』によるものだということを、皆さんは果してご存知でしょうか?(大)

 *親和性:親しみ結びつきやすい性質。二者が接してもおたがい疎外し合わない共存性を有する。