2.材質と形状

 インプラントの材質は、現在チタン製の物が主流ですが、かつては金、エメラルド、サファイア、セラミックと様々な材質の物が使用されていました。今となっては、チタン製の物が当たり前になっているので驚きです。1950年頃にチタンが骨と結合するとわかって65年、長いようで短いような感じです。

 次にインプラントの形状ですが、大きく分けるとブレードタイプ、シリンダータイプ、バスケットタイプ、スクリュータイプの4種類があります。ブレードタイプは板状のインプラントで、トラブルが起きて取り出す際に、ご自身の骨ごと大きく失う為現在あまり使われません。

 シリンダータイプは、中が空洞になっており表面がツルツルで初期固定※が弱いです。バスケットタイプは、表面の所々に穴が開いており表面積が多いですが、強度が弱いです。以上の2つもあまり使われていません。

 スクリュータイプは、現在多く使われていてねじ込み式の物です。表面にねじが切ってあり、そのことにより初期固定が得られやすく、インプラントが外れにくくなっています。

 インプラントの表面は、チタンとHA(ハイドロキシアパタイト)コーティングの2種類があります。HAコーティングの物は、チタンよりも早い期間で骨と結合しますが、経年的にコーティング部がはがれていき、炎症を起こしやすくなります。

 一方チタン製のものは、HAコーティングの物より骨結合に少し時間がかかりますが生体親和性が高く、経年的な材質の劣化もなく安定しています。その上現在、チタン製のインプラントの表面がSLA(サンドブラスト処理と酸処理)タイプの物が開発されており、HAコーティングとあまり変わらない期間で骨結合します。

 インプラントをしっかり入れていく上で、太さと長さも重要な要素となってきます。インプラントがしっかりする為には、骨と接触している表面積が大きければ大きいほど有利なのです。したがって選択されるインプラントは、太くて長い物の方がより良いのです。ただしすべての人が好条件で入れられるとは限りません。ご自身の骨の厚さや幅、抜歯時の炎症の程度、上顎洞や下顎管などの解剖学的に考慮しなければならない事があるのです。

 以上のことにより当院では、慎重に吟味したうえで、主としてS製のスクリュータイプでSLA処理したものを使用しております。(tutumisikam)

 ※初期固定:インプラント埋入時における初期段階の固定です。