9. 手術時に起こりうる偶発症について

 今回は、手術時における偶発症について、お話ししたいと思います。基本的には、起こりにくい事ですが、万が一起きてしまった時はどうするのか?ということをお話ししていきます。

 1) 麻酔時におけるショック

 麻酔時におけるショックには、神経性ショックとアナフィラキシーショックとがあります。

 神経性ショックとは患者さんの精神的ストレス(不安や緊張)や、肉体的ストレス(痛み)等により誘発されます。予防策として、患者さんへの声掛けを行い、不安や緊張を和らげます。また痛くない麻酔を心がけ、処置時にも細心の注意を払います。

 アナフィラキシーショックとは、強いアレルギー反応の一種で、万が一起きてしまった場合は、迅速な救急処置を行います。もちろん未然に防ぐために、問診にてアレルギーの有無、歯科の麻酔の既往歴や家族歴などの確認をします。

 2) 術中の大量出血

 術中の大量出血は、主に血管の損傷により起こります。よって解剖学的な位置を把握し、術前CT撮影により確認を行います。術中は慎重に処置をすすめ、痛みを感じるようであれば無理にはすすめません。出血が多いような場合はすぐに止血処置を行います。

 3) 神経麻痺

 主に下顎管(下あごの中を通る太い神経管)の損傷、切断によって引き起こされます。術前CT撮影により位置の確認をし、手術中は浸潤麻酔下で、痛みを少しでも感じるようであれば無理にはすすめません。また、インプラントの一部が、神経を圧迫している場合にも起こります。通常は、神経回復の薬をしっかり飲んで頂ければ、数週間~数ヶ月で問題なく回復します。場合によっては、インプラントを除去することもあります。

 4) 術後の感染

 インプラント手術後、何らかの原因で感染を起こしてしまった場合、抗生物質の追加投与を行い、経過をみます。それでも良くならい場合、インプラントを除去し、きちんと骨の治りを待って、患者さんの了承が得られれば、再度インプラント手術を行います。

 以上、手術時における偶発症をお話しさせていただきました。当然、起こらないように万全を期してますが、万が一起きてしまった場合も、迅速な対応を心がけております。(tutumisikam)