【枘鑿(ぜいさく)相容れず】という慣用句があります。

 枘鑿とは、広辞苑によれば、四角いほぞと円いあなのこと。転じて、物事が互いにくいちがって合わない様子を意味します。

 毎日臨床を重ねていると、いろいろな場面でこの慣用句で表したくなるような出来事に遭遇します。特に若いスタッフとのやりとりで、それを感じさせられることが間々あります。

   人はともすると自分の見知っている情報が、話す相手にも伝わっているものと思い込んでしまい、それを前提に話を進めたり、行動してしまうことがあります。

   そのために、会話をしても話がかみ合わない、また介補者と息があわない等、治療の流れが滞ってしまうことになります。そのような場合、面倒でも口に出すことが自らの行動を実況中継することになり、その結果、連携が可能になってスムーズな仕事の進行につながります。

   特に歯周外科やインプラントなどの手術時にはこの〝実況中継〝がたいへん効果的で、処置の段階ごとの確認/ 手順を誤らない/ 感染を防ぎ滅菌状態を保つ/ 患者さんに安心感を与える等、重要な役割を担っています。(大)