今回は、歯周病と全身疾患について、お話ししようと思います。

 皆さん歯周病と聞くと、歯の病気かな?歯ぐきの病気かな?くらいの認識はお持ちだと思いますが、実は全身疾患にも関係していると言われています。主な病気を挙げると、心臓疾患(狭心症、心筋梗塞等)、脳血管疾患(脳梗塞等)、糖尿病、誤嚥性肺炎、早産・低体重児出産などがあります。

 歯周病とは、細菌性プラーク(歯垢)による細菌感染症です。日本人の成人の約8割の方が罹患しており、人類史上最も感染者の多い感染症としてギネス記録に認定されています。少し話が逸れましたが、まず血管系の病気の話からしたいと思います。

 1.心臓疾患

 狭心症、心筋梗塞の原因となる動脈硬化は、不適切な食生活、運動不足、ストレスなどの生活習慣が原因とされていましたが、最近歯周病などの、細菌感染がクローズアップされてきています。歯周病菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラーク(ここでいうプラークは歯に付く汚れではなく、粥状の脂肪性沈着物)が出来て、血液の通り道が細くなることが原因と言われています。

 2.脳血管疾患

 脳の血管内のプラークが詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んできて、脳血管が詰まる病気です。歯周病の人は、そうではない人の2.8倍も脳梗塞になりやすいと言われています。

 もちろん全ての原因が、歯周病由来のものではないにしろ、少なくとも影響があるということは、はっきりと証明されています。大袈裟だという方もいるとは思いますが、たかだか歯周病だと思って、放っておくと全身にまで影響を及ぼしてしまう可能性があります。普段は痛みがなく、進行も遅いため患者さんの自覚も少ないので、歯科医院での定期的なチェックや予防治療がとても重要になると思っています。(tutumisikam)