今回は、歯を支えている歯槽骨についてお話ししようと思います。

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   歯槽骨とは、簡単に言うと顎の骨の一部で、歯を支えている部分です。 この歯槽骨が失われると、歯は支えを失い抜け落ちてしまいます。主な原因は、歯周病や咬合性外傷※等が挙げられます。失われた骨を回復させることは、非常に困難で限られたケースになってしまいます。

   歯周病の場合は、細菌が歯周ポケットから侵入して、歯槽骨を破壊していきます。普段の自覚症状はほとんど無く、症状が出た時には手遅れになっていることも多々あります。日本人の成人の約八割の方が歯周病と言われています。自覚症状の有無に関わらずに定期的なチェックを受けていただきたいと思います。

   咬合性外傷の場合は、力のコントロールが必要になってきます。具体的には、歯ぎしりが原因のときはナイトガードの使用、歯周病などで弱った歯が原因のときは、軽度であれば噛み合わせの調整と歯周病の治療で済むこともあります。しかし大体が中等度以上に進行しているので、歯を連結して固定する治療が必要となります。さらに歯の移動などを伴って重症化している場合は、矯正治療を含む全顎的な包括治療が必要になる場合があります。そのまま放置していると歯周病が悪化し、さらに加速度を増して進行してしまいます。

   骨には痛覚というもの自体が存在しないので、初期・中期の段階では痛みは全くありません。噛むと痛い、歯がグラグラする等の症状が出た時点では、病状はかなり進行してしまっています。いつも同じ様な結論に達しますが、やはり定期的なチェックをしていただく以外に予防法はないかと思います。(tutumisikam)


   ※咬合性外傷・・・健全な歯に、歯ぎしりなどの強い力が加わって起こる(一次性咬合性外傷)、歯周病などで弱った歯に正常な咬合力が加わって起こる(二次性咬合性外傷)があります。

   P S:なおイラストは2014.12.01に掲載したものを再度使用しました。