精密機械の設備を整えそれを使いさえすれば、精密治療が達成されるわけではないことは自明の理です。

   まず第一に医療従事者側の問題としてあるのが、機械器具のたぐいは、全ては使う人の使い方次第であり、使って活かしてこそ意味があるということ。

   さらに問題として挙げられるのは、非常に時間が掛かるというよりかける必要があるという点です。それに関しては施術者も患者さんもそれなりの覚悟を必要とします。

   また拡大するため術野は詳細に見えますが、範囲が狭まる為あまたの術野で遺漏なく確認できなければ、見落しが出る恐れがあります。肉眼で見た際のバランス、自然観を損なう恐れがあることにも触れなければなりません。

   肉眼でくまなく見た上で、ここぞというポイントをマイクロ スコープで補うことが肝要です。

   第二に医療を受容する側の問題にも触れないわけにはいきません。マイクロ スコープのような精密機械を使うに値する準備ができているかという点です。

   そのひとつめとしてはブラッシングの問題で、お口の中がプラーク コントロール と言われる、患者さんが自分で取り除くべき軟らかい汚れをきちんと落した、いわゆる炎症がない状態であるのかどうか。

   ふたつめとしては治療後、経過を追うために継続して検診を受けメンテナンスを続けるという、歯にかかわる高い健康意識を持てるかどうかです。

    高水準の治療は、それを受けただけで終わらせるのではなく、受けたことで口腔領域の長期的健康維持に結び付く、そこではじめて価値があることを力説しないわけにはいきません。(大)