今回は修復物の脱離についてお話ししようと思います。

   歯の詰め物や被せ物が取れてしまった、という経験をされた方は少なくないと思いますが、なぜ取れてしまったかを考えた方は少ないかと思います。修復物が取れてしまうには、それなりの原因があるはずです。それは患者さんが考えているほど簡単で単純でないこともあるのです。

   簡単な例で言えば、接着剤の劣化、金属の劣化などです。特に銀合金は数年使っていると、腐蝕(金属が錆びる)が起こり、歯との間に隙間ができてしまい外れ易くなってしまいます。解決するには、劣化の起こりにくい材料を選び、きちんとした処置をすれば永く使えるようになります。

   では簡単な例ではないものとは、どの様なものでしょうか?それは噛み合わせの問題がある場合です。主には不正咬合やブラキシズム(歯ぎしり)等です。これらが原因だと、ただ付け直しをしても、また問題が起こるのです。

   しかし、噛み合わせの問題やブラキシズムは、自覚症状が無く、患者さんも痛くなければ、なるべく治療を避けて通りたいというのが本音でしょう。しかしそれでは、また同じ問題が起こってしまい、最終的にはご自身の歯を失ってしまいます。この問題に触れていくと、話が長くなりそうなので続きは次回にしようと思います。(tutumisikam)