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 歯が歯槽骨に支えられていることは、誰もが知る所だと思います。

 一方、歯周病という歯科疾患があります。それがどんなものかと言えば、何らかの原因で歯槽骨が吸収し、結果歯を支えることが出来なくなり、挙句の果て歯が抜け落ちてしまうという病気です。

 さて、矯正治療を希望される患者さんの主訴は、ほとんどの場合、見た目を気にされてのことだと思います。がもし、矯正治療の仕方いかんによっては歯周病を予防でき、歯を失うことなく一生使えることに繋がるとしたら、いかがでしょうか?

   歯牙矯正、歯列矯正という歯科治療の一分野に関する見方が変わっては来ませんか?
   
   具体的に解説すると、歯に位置異常(転位、高位、低位、捻転等)があったり、顎の劣成長で歯が重なり合ってたりしている(叢生)と、歯根同士が近接する結果になります。これは一本一本の歯を支える歯槽骨の容積が少ないことを意味し、歯周病が短期間に進行しやすい状況に陥ります。

   矯正治療においては、患者さんの主訴を解決するだけでなく、咬合をも考慮し顎口腔系の安定に反映させるべきであるという考えは既に記載しました(2014.09.11.『84.矯正治療ーその有意性ー』)。

   更にその上で、歯を支えるため出来るだけ多くの骨量を確保するように、歯槽骨の中の歯根の位置に配慮して矯正治療を進めることが、歯周病に対し抵抗力ある顎口腔系の確立へ繋がると考えています。

   以上のようなコンセプト(概念)は、矯正治療をさらに意義深いものにする、より進んだ考え方だと思いますが、いかがですか?(大)