今までかなりの紙面をさいてブラッシングの解説をさせていただきました。それは主に歯周病を治し、健康な状態にみちびくことを念頭に置いたものでした。

 しかしブラッシングには、健康状態維持や歯周病予防を念頭に置いた場合もあります。これに関しての解説はまた別の機会にゆずることにします。

 そもそも病気が治るメカニズム(仕組み)は、人間の体が本来持っている治癒能力によるもので、我々はそのお手伝い(原因除去)をするのが使命なのです。

 このことは医療が何たるかの講義で最初に聞いたことでした。医療人が病気を治してやるんだという、おごりを戒めたものだと理解しています。

 いわば治り易い環境をつくるために、専門家が患者さんに知識を提供し、役割分担を正しく認識していただく。つまり、患者さんにはなすべきことをしていただき、われわれ医療人は真になすべき治療行為を行う。

 ブラッシングは患者さん自身がおこなう、歯垢などの柔らかい汚れを取るという原因除去でした。次回からは私たち歯科医師、歯科衛生士がおこなう、歯石すなわち固まってしまった汚れを取るという原因除去に関する解説です。(大)