治療前に4mm以上あった歯周ポケットの数値が、初期治療後の再評価で4mm未満になれば、外科手術は必要なく歯周病が治癒したと言えます。

 しかし、再評価の数値が4mm以上の場合、外科手術が必要になります。

 患者さんに、『手術が必要です!』……と申し上げると一様に、『どうしても必要ですか?』『できればしたくない!』という反応が多いという事実があります。

 歯周病に対する外科処置には、いろいろな種類があります。しかし、歯周治療において炎症抑制を主眼とした初期治療ののち、必要と判断された外科手術の意味合いは、何も歯肉を切り取るとか、血を出して悪いものを洗うとか、そういうことではありません。

 初期治療でどうしても取り除くことができなかった、歯周ポケットの深い所に相当する歯根面にこびりついた歯石を除去することが目的なのです。外科手術をしないで終わるということは、つまり、折角取り始めた歯石を浅い所だけで済ませて、深い所は放置することになります。そんな道理はないのではないでしょうか?

 実際には、歯肉に最小限の切開と剥離を加え、根の表面の歯石を直接確認します。その歯石を廓清する(すっかり取りきる)ことが手術の全てで、原因が無くなればあとは体の治癒する能力で治っていきます。

 つまり、歯周治療を成功に導くための外科手術であり、絵で言えば画竜点睛にあたることなのです。(大)