カテゴリ:咬合治療

 過去の臨床経験において、ちょっとした咬合調整(噛み合せ調整)をしただけで、劇的な症状の緩和、炎症(歯肉の赤みや腫れ)の消退、動揺の消失、疼痛の消失等が見られたことがあります。 噛み合せの問題は事程左様に繊細さを要求される世界なので、咬合調整をする場合、 ...

 今回は、歯のない処に歯を入れなかった症例を解説していきたいと思います。 以下のレントゲンは、1996年の初診時です。ほぼ全ての歯が揃っています。   その後、2012年に左右の第二大臼歯が欠損となりました。  歯が無い処に歯を入れないことの問題点を、再三説明をし ...

 このⅩ線は、初診時、満50歳、男性、会社員のものです。主訴は歯肉の腫れ、歯の動揺等でした。(1988.09.22) 口腔内全域にわたり精密検査をおこない、問題点を列記し、治療計画を作成した。後日患者さんに説明、同意が得られたので、治療を開始した。治療は、外科治療、 ...

 現代人の顎の大きさからして、通常親不知を除いた28本の歯が植立していることが、顎の大きさに見合った歯の本数であると言われています。 何らかの原因で歯を失った場合、われわれ歯科医療にたずさわる者は、当然のこととして、歯を補う(歯を入れる。補綴する。)ものだ ...

 プランジャー カスプ(plunger cusp)とは、『突出した咬頭』のことで、臼歯の領域で一部の咬頭(臼歯の噛む面の山の部分)が対合歯(咬み合う相手)の方に飛び出している状態を意味します。 欠損を長く放置したり、歯の位置異常が原因で起きることが多いようです。 一方 ...

   今回は、日々患者さんを診療していて気付いた事に触れていきたいと思います。   歯を抜いたまま数年間そのままにされている方を時々見かけます。患者さんにとっては、痛みもなくそれほど噛むのには不自由していないのかもしれません。しかしそこに落とし穴があるので ...

   今回は、咬合平面の低下についてお話ししようと思います。   咬合平面の低下は、ブラキシズム(歯ぎしり等) で歯が咬耗してしまったり、噛む面に入っている詰め物や、使用している被せ物、義歯の人工歯がすり減ってしまったりすることにより起こります。   咬合平 ...

 口腔内の噛み合わせの状態を注意深く観察してみると、不思議な現象に遭遇することがあります。   それがどのような事かというと、顎(下顎骨)をさまざまな方向に動かしても、噛み合わないはずの領域(歯の表面)に咬耗(噛み合わせによる歯の磨耗)が確認されることです ...

   検診時における、重要なチェック ポイントの1つに【噛み合わせ】があります。   例えば、❶詰め物が取れたままになっているような場合/   ❷歯がぐらついてきたような場合/   ❸臼歯の欠損を治療せずに放置したような場合/   ❹歯の磨耗が顕著な場合/   ❺食 ...

 たとえば、1本のクラウンを入れるとき、やみくもにそのクラウンだけを調整し装着することは、けっして賢明な方法とは言えません。 なぜこのようなことを言うかといえば、過去にそういう治療を受けたとしか思えない、臨床例に遭遇することが一度や二度ではないからです。 ...

 矯正治療を受けたあと、具合が悪いという患者さんが来院されました。 『右上の前歯がぐらぐら揺れて、しみるし、後戻りもしてきたみたい!』 との訴え。 通常このような場合、患者さんには矯正治療を受けた先生に、相談するように勧めますが…… 『こちらでお願いした ...

 結論から言うと、前歯と臼歯は相互に助け合う関係です。 前歯は臼歯の支えがなければ、健康な状態で長くその位置に、とどまることは困難であろうし、また臼歯は前歯の誘導がなければ、強い側方力にさらされ、負担荷重で寿命を縮めることになるでしょう。 そのような、臼 ...

 咬合治療においては、とくに安易な取り組み(たとえばすぐに歯を削るなど)を控えるようにしています。 綿密かつ慎重な診査、診断をせずに、治療に入ることは避けるべきだと考えています。 なぜなら患者さんと、われわれ医療従事者側との間に、大きなギャップ(考え方や ...

 前歯の力学的な役割が、飛行機を操縦するパイロットのように、顎(下顎骨)の動きを導くという話は、既にさせていただきました。 前歯がその役割をすることができないとしたら…… 元々の歯の位置(歯並び)に問題があるとき/ 歯周病などで歯に動揺があるとき/ 高度 ...

 前歯はシャベルのような形をしています。 上顎前歯の裏側の、真ん中3分の1の部分に、下顎前歯の切縁(前歯の噛む側)が軽く接する、位置関係が正常咬合と言われています。 前歯の力学的な役割として、顎(下顎骨)が左右側方、前方に動く(偏心運動)と同時に、飛行機 ...

 皆さんは、はさみをどのように使いますか? 経験的に、たとえば硬い厚紙を切るとしたら、刃の根元の方を使うでしょうし、切り絵のように力を必要としない、細かい作業であれば、刃の先の方を使うと思います。 なぜなら、刃の根元に近づく(支点に近づく)ほど強い力が生 ...

 臼歯の力学的な役割が、家で言えば柱に相当するという話は、既にさせていただきました。臼歯がその役割をすることができないとしたら…… 元々の歯の位置(歯並び)に問題があるとき/ 虫歯を治療せず、穴が大きいまま放置したとき/ 歯周病などで歯に動揺があるとき/ ...

 力学的な意味で、建物における柱と同様の役割をしています。 顎(下顎骨)が閉じ、上下の歯が最大面積で接触した瞬間、上下の歯と顎の骨を貫く柱が出現するとイメージ(映像化)してください。 上の絵のように、矢印の方向に顎が動き、そこに柱ができるのです。 ”口腔 ...

 いままでは、主として臼歯の咬合面(噛む面)の形が、どうあるべきかというお話しでした。それは、咀嚼効率を高め、歯及び周囲関連組織への負担軽減を考慮した、さまざまな工夫であったと言えましょう。 これらのことは、1本のクラウンを作成するときも、また咬合調整( ...

 歯を形作るときの基本原則に、噛んだときの力が長軸方向に掛かるように、考慮するという事柄があります。歯の長軸方向に力が掛からず、側方力が生まれると、歯は負担荷重になり、歯根膜(歯と骨の間の0.2mmの組織)の拡大、歯槽骨の吸収、歯の移動、歯の根尖(根の先) ...

 歯を形作るにあたり、いろいろな原則があるというお話しの中で、点接触の重要性については、すでに触れました。 今回、一見して、不謹慎なサブ タイトル(副題)になりましたが、そのわけはこれからの説明で、ご理解いただけるかと思います。 歯の噛む面(咬合面という) ...

 私がなぜ、わかりにくい咬合(噛み合せ)のお話しを、わざわざしているのか、その理由がおわかりになるでしょうか?……  まず第一に、患者さんが無頓着であるという、理由が挙げられます。これまでも、日本における歯科治療事情については、幾たびか言及してきましたが ...

 咬合(噛み合せ)治療といっても、そのすべてが大がかりな全体の治療を、意味するわけではありません。 例えば、クラウン(冠。かぶせ物。)を1本、口の中に入れるときでも、咬合を考慮する必要があるということです。   ある歯科技工士が勤務していました。彼は仕事 ...

 前々回、1本のクラウンを入れるにあたり、まず、顎(下顎骨)を自然に(顎位に影響を与える情報がない状態で)閉じたとき、そこが最初に衝突すること(早期接触)がないようにするというお話しをしました。 次に我々がしようとすることは、顎がさまざまな動きをした時、 ...

 顎の動きが、扉の開閉のように、単純な開閉運動のみであれば、我々の仕事はどれだけ楽だったでしょう!  『おやっ! 下顎骨は、ひとつの骨で関節がふたつあるんじゃなかった?!』 下顎骨の複雑極まりない運動は、実は顎関節の高性能な仕組みが、後ろ盾になっています ...

 歯の治療において、上下の歯の接触から成る咬合(噛み合せ)を考慮しないことなど、信じられない、恐ろしいことだと思いませんか? 具体的にお話ししましょう。歯を1本入れると仮定します。患者さんは、噛み合せが高くもなく、また窮屈でもなく、違和感がなければ、気に ...

 咬合(噛み合せ)治療の具体的な説明にはいる前に、しておきたいお話しです。前回が、骨の話でしたが、今回は筋肉と神経に関することです。 日常生活で誰もが経験する出来事に、階段の昇り降りがあります。初めての階段は、だれでも慎重に、一段ごとの高さ、奥行きそして ...

 咬合(噛み合せ)治療を受ける際には、それを取り巻く事柄を理解していただく必要があります。そして治療を成功させるためには、さらに患者さん自身の協力と、参加が必要になります。そのようなわけで、解剖の基本的な構造を、簡単に説明したいと思います。 咬合は、上下 ...

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