歯を形作るにあたり、いろいろな原則があるというお話しの中で、点接触の重要性については、すでに触れました。 今回、一見して、不謹慎なサブ タイトル(副題)になりましたが、そのわけはこれからの説明で、ご理解いただけるかと思います。

 歯の噛む面(咬合面という)を、作っていくに当たって、出すべき処は出し、へこませるべき処はへこませるという意味です。実際に、凸には、大きくは咬頭(咬合面の山の部分)があり、小さくは隆線(山で言えば稜線)があります。凹には、大きくは中心窩(咬合面の中央にある窪み)があり、小さくは小窩(咬合面の小さな窪み)があります。さらに咬頭や豊隆を分けるように、裂溝が走り、窩を結んでいます。

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 咬頭の形が平坦だと、咀嚼効率が落ち、歯及び周囲組織のへの負担が増大します。咬合(噛み合せ)させる際、どのような接触形態をとるかという場面で、面ではなく点接触が基本原則であるのと、同様の意味合いです。程度問題ですが、できるだけ平坦な形は避け、尖った形にするべきです。

 裂溝がなぜ必要であるかというと、咀嚼した食物が流れる道を確保するためです。溝がないと、食物をつぶすだけになり、切削効率が落ちることになります。これもまた、点接触からつづく一連の説明と、深く関連しています。

 さらに、かなり専門的なことになりますが、溝を入れることで、顎のさまざまな動きを邪魔しないということがあります。下顎骨が偏心(左右側方、前方そして中間)運動したときに、対合歯(噛みあう相手の歯)の咬頭が、形作る歯にぶつからずに、避けてすりぬけるように溝を入れるのです。(大)