いままでは、主として臼歯の咬合面（噛む面）の形が、どうあるべきかというお話しでした。それは、咀嚼効率を高め、歯及び周囲関連組織への負担軽減を考慮した、さまざまな工夫であったと言えましょう。

　これらのことは、１本のクラウンを作成するときも、また咬合調整（噛み合せの調整）のときでも、必須のチェック ポイント（確認事項）であり、咬合様式（噛み合せパターン）がどうであれ、考慮すべきことです。

　”医療とは何か？”と問われれば、”思いやり”と答えるつもりです。

　以前、述べたように、医療はわれわれ医療人が、病気を治すのではなく、病気が治るのは、患者さんの体の治癒能力によるものでした。われわれはそれをバック アップする（背後から支える）、つまり原因の除去、環境づくりをするのが使命でした。

　今後の話の展開は、１本の歯から、歯のまとまりである”歯列（しれつ。歯が並んでいるようす。）”になっていく予定ですが、そこでも、患者さんの身体にやさしく、いかに負担にならないようにするか、というコンセプト（概念）を受け継いでいくことに、変わりはありません。（大）