前歯はシャベルのような形をしています。 上顎前歯の裏側の、真ん中3分の1の部分に、下顎前歯の切縁(前歯の噛む側)が軽く接する、位置関係が正常咬合と言われています。

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 前歯の力学的な役割として、顎(下顎骨)が左右側方、前方に動く(偏心運動)と同時に、飛行機を操縦するパイロットのように、前歯が規制、誘導して臼歯を離開させ、有害な側方力を発生させない、ということが挙げられます。

 このことを、アンテリア ガイダンス(前歯誘導)と言っています。前歯が臼歯を守るだけでなく、歯および周囲組織を含む顎口腔系*に、多大な損傷を与える恐れのあるリスク ファクター(危険因子)をなくすことができるので、包括治療(一つに合せひっくるめた治療)における、重要なチェック ポイント(確認事項)になっています。(大)

 *顎口腔系(Stomatognathic system):咀嚼、嚥下、呼吸、発音および顔貌などの顔面、顎、口腔領域で行われるすべての機能に関係する諸組織、器官の機能的単位の総称。