普段、臨床においては、さまざまなことに遭遇します。 私が歯科大を卒業して35年になるのにも拘らず、その当時で既に教育されていなかった、旧来の治療法を最近受けたという症例に、いまだにお目にかかることがありますが、これは一体どういうことなのでしょうか?

 以前にも触れましたが、私の家系は代々歯科医師で、現役では従弟もU駅近くでH歯科医院を開業しています。私ごとですが、父は40才で歯科医師会館で会の仕事中に他界しています。ですから歯科界の事も、その変遷も少しは知っている積りなので提言させていただきます。

 患者さんが、自分の歯にかかわる健康を任せる歯科医師を選ぶ時には、その歯科医師が少なくとも現在の歯科治療の、本来することになっている治療をしようとする者である事を、必要最低条件に選んでほしいのです。

 歯科医師を選ぶ側である患者さんが、近いからとか、自分の言うことを聞いてくれるからとか、時間が短く、回数が少なくて済むからとか・・・治療の本質から目を背けた、それ以外の選択基準で、歯科医師や治療を決めていただきたくないのです。

 治療の本質を追求しつづけることが、歯科の治療の水準を高めることに、結びつくのではないかと信じています。即ちそれは、歯科医療に携わる側である我々のレベル アップ(水準の向上)であり、受ける側である患者さんの意識の向上です。

 以上の生意気な提言は、開業して30年あまり、近々60歳にならんとする者の戯言とお笑いください。(大)