複合レジン充填は、おもに前歯の小範囲のカリエス（虫歯。齲蝕。）に対して行われる修復治療です。残存する健康な歯質の量を、ある程度確保でき、咬合に大きく関与しなければ、歯を削る量も最小限度で済み、そこそこの審美性が得られる治療法です。

　ただし、レジンは所詮、合成樹脂ですので耐久性には限りがあり、年数が経つと表面が劣化します。艶がなくなり変色が起こります。

　さらに、熱膨張係数が歯と異なるため、熱いものや冷たいものとの接触にともない、膨張収縮が繰り返され、隙間が出てくることは避けられません。

　どちらにしても、修復物の長期的維持には問題があり、適切な時期に再治療が必要になります。

　充填する際には、解剖学的知識を活かし,歯牙の形態を忠実に再現することが肝要です。さもなくば、歯垢の停滞を招き、さまざまな問題を惹き起こすことになります。　患者さんが自ら行うオーラル ケア（口の手入れ）である、ブラッシングやフロッシング（糸による清掃。）を妨げないような修復を心掛けるべきです。

　咬合面（噛む面）に修復されている場合を眼にしますが、賛成しかねます。　一時的な見かけの良さに誘われて、患者さん受けも良いのですが、磨耗しやすい材質を咬合に関与させれば、当然の事ながら修復物の変化に伴い問題が生じます。　本来その歯が担うべき機能をほかの歯が担うことになり、負担荷重は避けられません。（大）