2歯遊離端欠損とは、連続した第1・第2大臼歯を失った場合で、簡単に言うと奥歯2本がない状態です。それは同時に、失われた歯と本来噛み合うはずの、2本の歯がさらに機能できなくなることも意味します。

 臼歯の役割については既に掲載済ですが(2014.08.29『75.咬合治療Ⅵ-臼歯の役割ー』)、上下の臼歯が噛み合って、”口腔”という家を支える8本の柱のような役割をしていると説明しました。ただしそれは等分ではなく、片側の大臼歯2本が機能しない場合、その占める割合は全体の2/8ではなく、おそらく1/3程度に相当するのではないかと思われます。

 なぜなら、左右の顎関節を支点に下顎骨が運動するという解剖学的な特徴が、歯が奥に位置するほど強い力を受けることを意味するからです。

 これを説明するためには、身近な例として、はさみで厚紙を、あるいはペンチで太めの針金を切る時、根元を使うと(強い力が生まれ)たやすいという、誰もが経験する出来事を挙げることができます。(2014.09.02『咬合治療Ⅷ-はさみー』掲載済)

 しかしながら、この治療の必要性を患者さんに説いても、1歯遊離端欠損の場合と同様に、反対側で噛めるしあまり困らないからと、できれば治療を避けたいと言われる患者さんが決して少なくありません。

 仮に放置したとしたら、1歯遊離端欠損の場合と同様・・・否それ以上に、対合歯(噛み合う相手の歯。)の自浄性低下による慢性的な歯垢の停滞/ 対合歯の歯槽骨を伴った挺出/ 隣接歯の欠損部への移動/ それらによる咬合不均衡/ 残存歯への過重負担/ 顎関節症の誘発等が挙げられます。

 なお、これらの問題にどう対応すべきかは、次回記載の予定です。(大)