先の大戦の敗戦後、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)になり、ようやく留学や移住を目的とした海外渡航が自由化されました。つまりそれまで、海外の優れた知識や技術を直に学びたくてもできない、言ってみれば鎖国の状態だったわけです。
その自由化に伴い向学の志を持った先達が、ある人はセラミックを、またある人は総義歯を、歯周治療をと、専攻するために海を渡りました。その先生方が帰国され知識、技術を広めるため講演や講習をし、私はそれらの講演会、講習会をできるだけ受講したものでした。
その中の一人に、私が出た大学の19年先輩で、総義歯を専攻されたS市のA先生がいらっしゃいました。
その先生の講演で耳にした、いくつかのお話しの中で、とくに眼を見開かされたのが、『若く臨床経験が少ない歯科医師でも、総義歯の治療システムを作り上げれば、患者さんに受容される総義歯医療が可能である。』という点でした。
わたしは、かならずやA先生の総義歯の治療システム*をマスター**しようと、学生時代にはなかったような集中力と勤勉さで立ち向かいました。
経験、カン、コツが必須と言われる総義歯医療を、それらを持たない私たち若い歯科医師が、はたしていかに克服できるのかという旅の始まりでした。(大)
*システム(system):複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。
**マスター(master):知識、技術を身につける。習得する。精通する。
その自由化に伴い向学の志を持った先達が、ある人はセラミックを、またある人は総義歯を、歯周治療をと、専攻するために海を渡りました。その先生方が帰国され知識、技術を広めるため講演や講習をし、私はそれらの講演会、講習会をできるだけ受講したものでした。
その中の一人に、私が出た大学の19年先輩で、総義歯を専攻されたS市のA先生がいらっしゃいました。
その先生の講演で耳にした、いくつかのお話しの中で、とくに眼を見開かされたのが、『若く臨床経験が少ない歯科医師でも、総義歯の治療システムを作り上げれば、患者さんに受容される総義歯医療が可能である。』という点でした。
わたしは、かならずやA先生の総義歯の治療システム*をマスター**しようと、学生時代にはなかったような集中力と勤勉さで立ち向かいました。
経験、カン、コツが必須と言われる総義歯医療を、それらを持たない私たち若い歯科医師が、はたしていかに克服できるのかという旅の始まりでした。(大)
*システム(system):複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。
**マスター(master):知識、技術を身につける。習得する。精通する。
コメント