患者さんが受け容れる総義歯とは、いかなるものでしょうか?

 なんでも患者さんの要求どおりに作り、且つ調整することなのでしょうか?

   患者さんは来院当初、ほとんどの場合、物が噛めれば/   歯肉が痛くなければ/   義歯がガタガタせず歯肉とくっ付いてくれれば・・・という主訴で来院されます。

 しかし、総義歯治療を進めていくうち、患者さんの最初の要望は何処へやら・・・次から次へと要求が高じていきます。

   それはある意味で仕方のない事なのかも知れません。ひとつの問題が解決されれば、つぎはこの問題をと要求が高まっていくのは、ヒトの性(さが)であろうし、いわば当然の帰結だと思います。このことは総義歯に限らず、世の中の他の事柄でも同じで、ひとつが満たされれば、つぎを求めるものなのでしょう。

 総義歯治療では、出来ることと出来ないことを理解していただく必要があります。そのうえで総義歯によって得られたことを活かし、得られぬことや欠点を補って上手に付き合えば、歯がなくてもある程度快適な生活を送れている人はたくさんいらっしゃいます。

 そして実際問題として、噛む力や難しい発音等の機能面では限界があるものの、総義歯であることを周りの人に悟られないように入れること位は、十分可能であることを最後に付け加えておきたいと思います。(大)