そもそも【症状第一主義】を続けて、のちに問題を起こす恐れはないのでしょうか?

 こう述べる理由は、患者さんが症状の有無だけで受診の判断をした為、思いの他病気を進行させてしまい歯を失うという症例を、我々がまのあたりにする度かような最悪の事態を避けられないものかと案ずるからです。

 歯の治療、検診の究極の目的は、ご自分の歯を一生使い続けることであろうし、それを否定する人は誰もいない筈です。

 もしも心無い歯科医療従事者が、それを逆手にとって患者さんが気が付かないことをいい事に、悪化が予測される状態を黙認し、結果的に自分たちの仕事を増やそうとしているとしたら、それを皆さんはどう思われるのでしょうか?

   『未必の故意』と言われる、ある出来事の発生を予測しながら見て見ぬふりをし、気付かなかったという言い訳が可能な行為になりはしませんか?

   誠意ある医療人であれば、患者さんが気付かぬ病態に対し逃げずに立ち向かい、きちんと説明義務を果たすべきで、プロフェッショナル(専門家)として誇りを持って治療の必要性を説くべきではないかと常々考えています。

   ただし患者さんが受け入れるかどうかは、医療従事者との信頼関係が大きく左右することになります。患者さんが信用して依頼し、医療従事者が責任をもって受けたとき、初めて治療行為が行われることになるのです。(大)