この2枚のX線写真は、ある患者さんが30年前に初診で来院された時と、最近検診で来院された時のものです。その間欠かすことなく、半年毎のチェックを受け続け、X線写真は36枚を数えました。
検診時に一体何をして来たかと言えば、概ね❶問診による問題がないかの確認。/ ❷X線所見で時間の経過による変化がないか?/ ❸肉眼所見で問題がないか?/ ❹フレミタス*がないか?/ ❺シャイニング エァリア、スポット**がないか?/ ❻汚れを染め出し、ブラッシングが行き届いているか?/ ❼垂直および水平的ポケット検査による、X線だけでは把握できない問題点がないか?/ ❽必要に応じた、虫歯治療、噛み合せ調整等です。
予防治療の究極の目的は、生涯可能な限り一本でも多く自分の歯を使って行くこと、ではないかと考えています。歯に関わる健康を獲得しそれを達成するためには、何も病気になってから治療することはないわけです。
ところが残念なことに、患者さんは不快な症状がないと、なかなか予防の重要性を認識していただけません。
検診時の予防治療においては、歯の汚れの除去と歯に掛かる強い力を防ぐことが、大きな二本の柱になります。この際、患者さんには真に歯に関わる健康を得るため、決して受け身ではなく、予防治療に自ら参加するという積極的な姿勢が要求されます。(大)
*フレミタス(fremitus):《医》震動音。震盪。ふるえ動くこと。ゆれ動くこと。振動。
**シャイニング エァリア、スポット(shining area,spot):咬耗(歯の噛む面が磨耗すること。)によって、ダイァモンドのカットのような面やスポットが形成され、光を当てると反射する状態を現す歯科的用語。本来歯は全て曲面から成っており、ブラキシズム(歯軋り及びその仲間。)の可能性が強く予測される。
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