フレミタス(fremitus)とは、震盪、振動のことで、震え動くこと、揺れ動くことを意味します。

 歯は健康であれば動かないものと思われがちですが、実際には生理的な動揺があります。その理由は、解剖学的に歯とそれを支える歯槽骨の間に200ミクロン(0.2mm)の間隙があるからで、繊維性組織と感覚受容器から成る、歯根膜と呼ばれる組織が存在しています。そのような訳で、理論的には、0.2mm未満の生理的動揺があります。

 歯周病や咬合性外傷等で歯槽骨が吸収すると、歯が生理的な動揺以上に動いてくることから、診査の際、歯槽骨吸収の可能性を探る指針になっています。

 ところで実際の臨床において、フレミタスをどのように診査しているかと言えば・・・

 一般的に多くの場合、上の歯は下の歯の外側にありますが、上の歯の前面に指を置いた状態で、閉口し噛みしめたり擦り合わせをした際、その指を通して歯の揺れを感じたとき『フレミタスあり!』と判断しています。

   これは歯科医師に限らず、歯科衛生士でも患者さん自身でもできる簡単な診査で、初診時の診断や定期検診時の経過観察等における重要なチェックポイントの一つにもなっています。

   当然のことながら、フレミタスは健康であればあってはいけないものであり、ある場合には歯周病の進行やブラキシズム(歯ぎしり及びその仲間)を疑うことになります。(大)