歯肉が腫れ歯が噛めないという訴えで、初診でいらした患者さんに、X線検査後おそらく歯周病だと思いますが…と説明しますと、そんな筈はないのでは、だって定期的に歯石取ってますから、というお答え。
歯周病予防の根幹を成す歯石除去を、来院された患者さんの殆どの方が、虫歯治療のついでに1回(20分前後)で器械等でとるものだと思っている現実があります。それは歯肉より上の歯表面の歯石や色素沈着除去であり、あくまでも歯石除去の一端に過ぎません。つまりそれだけで歯周病の予防がきちんとできるわけではありません。
そもそも歯周病は慢性疾患と言われ、体調不良時に一時的に症状が出ても体調が戻れば引っ込んでしまいます。しかし、それは治ったわけではないのです。症状が頻発し強くなって、患者さんが治したいと思ったときには、病気は中程度以上に進行しています。
病気を治すのに、何も悪くしてから治す必要はないのではないでしょうか?
歯石が主な原因で、歯を支える組織すなわち骨がなくなっていく病気が歯周病です。失った骨は、ある条件が整った場合にのみ再生が可能なだけで、ほとんどの場合、元には戻りません。歯が虫歯でなくても、支持組織である歯槽骨を失えば、寿命を短くすることになります。予防には、早期発見、早期治療が一番です。
次回以降、歯石除去を完了するため、どれだけの時間、回数が必要なのかに触れたいと思います。なお、この話は当院の主な患者さん年齢で、歯周病年齢ともいわれる20代後半以降の方が対象の実際の治療から発生した出来事がもとになっています。(大)
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