クラウン(被せ物)の形態がどうあるべきかを考えるとき、単に天然歯(自然に萌出した歯)の形を摸倣すれば良しとしてしまうのは、必ずしも得策だとは言えません。

 歯科治療を、日々の臨床から得られた反省や教訓を生かし、継続的により良いものへと高めようとしたとき、勿論天然歯の優れた部分は踏襲したうえで、その天然歯よりさらに優れた形態があるとしたら、それを追求すべきではないでしょうか!?
   
 今回取り上げる症例には既にクラウンが装着されており、下顎左側第一大臼歯の頬側分岐部(根と根の間)上方の歯質に齲蝕(虫歯)が出来ていました。クラウンの形態を評価してみると、この部分がオーバー カントゥアー(over contour、大きすぎる外形、過剰な豊隆)になっていました。建物で言えば、その上部の構造が、屋根がなく外壁から移行的に立ち上がっていれば良いのですが、屋根があり軒(のき)下がある状態です。

 このような場合、当然の事ながらプラークが停滞しやすいため、齲蝕や歯周病の原因になります。

 さて、この症例に際しどのような対処をすべきでしょうか?

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 この二枚の写真は別症例ですが、歯周病のため動揺が大で歯毎抜歯せざるを得なかったブリッジを、普段から患者さん説明用として使っている、言ってみれば臨床標本です。今回の治療説明オフィス ブログの術前写真として、非常に分かり易いと思い提示しました。(つづく)(大)