当歯科では、1993年にチタン製のインプラント治療を開始し、現在まで27年間で1000本以上を数えるに至り、約99%の成功率を維持しています。

 その中で気が付いたこと・・・これは前回のブログで説明した優位点とは異なる、時間が経過してはじめて明らかになる、インプラント治療の最大意義と思われる点ですが・・・

 それが何かと言えば、それまであらゆる手を施しても下り坂を転げ落ちるように、病状が悪化の一途をたどり、痛み、腫れ、脱離、破折による抜歯等が頻発していた症例において、インプラント治療の導入で悪化を喰い止めることができたという実例であり、仮に他にもそのような例を挙げるとしたら枚挙に遑がありません。

 以上のようなケースにおいては、ただ単にインプラントを導入すればよいというものではなく、口腔全体を一つの単位として捉え、診査、問題点の抽出、診断、治療計画の立案をし、患者さんに提示、詳しく説明したうえで患者さんからの依頼があれば、計画に沿って行う、という包括医療*及びインフォームド コンセント**の概念のもと、治療が為されるべきであることは言うまでもありません。

 その一例を呈示してみますと、

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 上のX線はある患者さんの初診時で、右上の脱離ブリッジを主訴として来院され、下顎には既に部分床義歯が装着されていました。

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 上顎は残存歯3本、インプラントでなく部分義歯を装着すれば、将来総義歯に移行するであろうことは火を見るよりも明らかです。インプラントによって、咬合の確立ができただけでなく、残存歯の寿命を延ばしめたところに、最大の意義があるのではないかと考えています。(大)

*包括医療;〘医〙comprehensive medical care:関わる全てのことを一つに合せひっくるめた医療。

**インフォームド コンセント(informed consent):医学的処置や治療に先立って、それを承諾し選択するのに必要な情報を医師から受ける権利。医療における人権尊重上重要な概念として各国に普及。;《医》十分な説明に基づく同意。手術や実験的治療をうける場合、その詳細を知らされたうえで患者が与える同意。