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 歯周病を治す為、通法に従い治療を進めてきた段階で、歯周ポケットが減少すれば治癒とみなしますが、意に反して減少せず外科処置が必要と判断せざるを得ない場合があります。

 患者さんにその旨説明すると、同意していただけないことがあります。外科処置の可能性は歯周治療を始める前の段階で説明済みなのにもかかわらず、いざとなると納得できない。

 歯周外科は歯周治療において、絵における画竜点睛のようなもので、これによって今まで段階を踏んで治してきた歯周治療の言わば仕上げの治療です。

 患者さんにしてみると、初期治療*ですっかり症状が消退してしまったため、治った積もりになっているだけで、これこそがまさに慢性疾患の特徴で実際は治っていないのです。

 もしここで中断すれば今までの治療はすべて水泡に帰することになります。

 次回から、どうして外科処置にいたるのか?なにゆえそれが不可欠なのか?を分かり易く解説できればと思います。(大)

*初期治療(initial preparation):歯周治療おいて、まず炎症を抑制する目的で行う初期の治療を意味する。具体的には、ブラッシング(歯磨き)、スケーリング(歯石除去)、ルート プレーニング(根面滑沢化)、不良修復物の除去と暫間修復、歯内療法(俗に言う歯の神経が入っていた歯髄腔の治療)、保存不可能歯の抜歯等を含む。