現代人の顎の大きさからして、通常親不知を除いた28本の歯が植立していることが、顎の大きさに見合った歯の本数であると言われています。

 何らかの原因で歯を失った場合、われわれ歯科医療にたずさわる者は、当然のこととして、歯を補う(歯を入れる。補綴する。)ものだと考えていますし、まさしくそれが歯科の仕事だと思っています。

 ところが患者さんによっては、❶別に困らないから/❷噛むところが他にあるから/❸前歯じゃないし見た目に気にならないから/などと、歯を入れることを拒むことがあります。

 このような場合に、患者さんの口腔内の健康に何も問題が出ないなら、何も言いません。しかしながら、一部の歯の欠損を放置すると、❶残存する歯への負担荷重/❷対合歯が挺出する/❸欠損部に向かって歯が移動する/など、気が付かないうちに口腔内環境が悪化し咬合崩壊へとつながっていきます。

 しかるべき欠損補綴をおこなえば、一生入れ歯の世話にならずに自分の歯で食べられる道が開かれます。ただし、その治療が人間の歯特有の咬合という理論背景に、基づいたものでなければならないことは言を俟ちません。(大)

PS:次回その2で欠損補綴をした症例、次々回その3で欠損補綴をしていない症例を呈示します。