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 自分自身に根分岐部病変の経験がないので知り得なかったことですが、ある患者さんの治療を通して、会話のやり取りから思わぬ発見があったのでお知らせしたいと思います。

 患者さんは、53歳、女性、下顎左側第二大臼歯の根分岐部病炎がありました。ブラッシング(歯磨き)に大変熱心に取り組んでいただいている方です。

 口腔内の健康を維持するためには、ブラッシングを食事ごとに、或いは最低限でも一日に一回は汚れをしっかり取り除くことが理想的ですが、それを実践している方にはある健康観が存在することをはたして皆さんはご存知でしょうか?

 どういうことかというと、口腔内が汚れたままだと、歯肉がむず痒く、唾液もべとついて、口臭が気になるのです。即ちブラッシングをマスターし、あるレベルに達すると、その心地よい健康観を常に維持したくなり、歯を磨かないでは居られなくなるものなのです。

 その患者さんが違和感を訴えてきた部位が根分岐部病炎でした。そこでこれはあくまでも応急処置ですが、病変の上部歯質(庇状になっている部分)をおとし歯冠形態を整えました。

 そうするとそれだけで患者さんの訴えが解消されたという事実です。勿論これで終わりではなく治療過程における断片的なものでしかありませんが、専門的にはファーケイション プラスティにおけるオドント プラスティ**と言われています。(大) 

*根分岐部病炎(Furcation disease): 歯周病における病態の一つで、複根歯の分岐部に生じた骨吸収を言う。通常3Aの探針を歯と歯肉の間から水平的にそおっと挿入して診査し計測する。歯周ポケットが垂直的なポケットであるとすれば、水平的なポケットと称して区別している。

**オドント プラスティ(Odonto plasty):根分岐部病炎を解消するために行う形成外科(ファーケイション プラスティ、Furcation plasty)の一つで歯の形態修正。他に歯肉に対して行うジンジボ プラスティ(gingivo plasty)、歯槽骨に対するオステオ プラスティ(Osteo plasty)がある。