患者さんは、『前歯が伸びてきた』と訴えている、44歳、女性、会社員です。

 これまでの治療は、進行した歯周病であるのにもかかわらず【歯石除去】と称し、ただ表面の汚れを取る処置だったとのこと、その結果として歯が移動してきた訳です。

 その【歯石除去】で患者さんは歯周病にならずに予防できるものと思っていた節があります。

 私は過去の担当医の治療批判をするわけではなく、患者さんに真の歯周病治療とはいかなるもので、この状態を食い止めるためには何を為すべきかを説明します。

 仮に、患者さんの置かれた状況を我が身に置き換えたとき、自分にしてほしいと思う治療を患者さんに説明するようにしています。

 このような考え方は開業以来当院の治療方針として続けてきたことです。

 説明後患者さんから治療の依頼があれば、そこで初めて治療がスタートすることになります。

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  特に上顎右側中切歯が動揺とともに前方へ移動、挺出している。やむなく抜髄、根管充填をする。

 実際は多少の差こそあれど、前歯4本が前方へ移動し挺出している。(フレアリング、flaring)

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 初期治療*ののち再評価し、歯周外科の必要性を説明する。
 
 4前歯の動揺を収束するため、やむなくレジン冠にて連結固定する。

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 歯周外科後3か月の再評価で歯周病の治癒が確認される。(大)

*初期治療(Initial preparation) :歯周治療において炎症を抑制する目的で行う初期の治療を意味する。具体的には、ブラッシング(歯磨き)、スケーリング(歯石除去)、ルート プレーニング(根面滑沢化)、不良修復物の除去と暫間修復、歯内療法(歯の神経が入っている隙間の治療)、保存不可能歯の抜歯等が含まれる。