歯石を取るにあたって余りにも当然のことですが、生体への配慮を怠るわけにはいきません。

 そこが医療たるゆえんだと思います。歯石を取ることばかりに気を取られてしまうと、無理をして、知覚過敏、歯肉の必要以上の退縮、歯石だけでなく歯を削ってしまうことさえあります。

 歯科医師、歯科衛生士の技量が問われる場面だと言えます。まず急がないことが大切で、じゅうぶんに時間をかけ妥協せず歯石除去に専念すべきです。

 よくあることなのですが、早く歯周病を治したいという気持ちが強いあまり、毎日でも何時間でもと治療を希望される患者さんがいます。しかし、我われ医療に携わる者が歯石を取ることだけしか考えずに、生体に損傷を与える恐れのある治療行為をすることは許されないことなのです。

 これは前にも触れましたが、悪くなるのに時間が掛かった分治すのに時間をかけ、問題を残さぬよう生体の治癒を待ちながら原因を取り除く必要があります。結果、健康を獲得したらそれを長く維持しようとすること、それが最良の選択です。(大)