

2022.05.17.に掲載した『474.定期健診で来院したある患者さんの一症例』の続報です。
今回の定期健診で患者さんが気にしている二つの点、即ち歯の部分的破折及び歯肉退縮はともにブラキシズム*が原因です。以下に参考となる論文の要約を載せますと、
過剰な咬合力によって起こる歯科的疾患とその発現頻度は高い順に、①歯の磨耗(96%)/②歯の部分的破折(73%)/③歯肉退縮(60%)/④歯根露出(56%)/④アブフラクション**(56%)/⑥知覚過敏(53%)/⑥歯の内部破折(53%)/⑧歯の破壊(30%)/⑨歯の破折(20%)/⑩歯の動揺(16%)/⑩歯の移動(16%)/⑫歯の喪失(6%)という報告があります。(Simon J.2000)
前回のブログでも申し述べましたように、この患者さんの歯の長期的健康維持を念頭に置いたとき、ブラキシズムへの対応が主たる部分であるという見解が変わることはないのではないかと言えます。(大)
*ブラキシズム(Buruxism):誰でも一度は耳にしたことがある、あのキリキリと音を発する歯軋りや、その仲間の総称です。グラインディング(歯軋り)、クレンチング(喰いしばり)、タッピング(カチカチと音をさせる。)の三つに分かれます。
**アブフラクション(Abfraction):喰いしばりや歯軋りなどの強い咬合力が原因で、歯と歯茎の境目(歯頚部)に引っ張り応力が集中し楔状に発生する欠損。
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