診療補助業務における術者へのスムーズな器具の受け渡しは、治療の質を高めるとともに、事故を防ぐことにつながるたいへん重要なテーマです。

 診療行為において歯科医師(以下術者)と歯科衛生士および助手(以下介補者)は、共に術式を把握すべきであることは当然のこと、更にそれがコンセンサスが得られたものでなければなりません。  

 仕事の性質上、術者が主、介補者が従であっても、互いを思いやり、4本の手と4つの眼で、チームワーク良く診療業務を行うべきです。

 スムーズな器具の受け渡しができれば、術者は淀みなく次の処置にかかることができます。その為には、介補者は術者が受け取った器具を持ち替えたりすることがないように渡す必要があります。

 介補者が治療の進行程度を把握し、あらかじめ次に使用する器具の準備ができるようになれば、仕事の流れに調和した器具の受け渡しが可能になります。

 事故を防ぐには患者さんの顔面および頭部上での(近道をするような)受け渡しは避けるべきです。いわゆる『ヒヤリハット*』と言われる、万が一落した場合でも患者さんを傷つけない、エプロン上の胸あたりや頭の外側から(必ず遠回りして)渡す必要があります。(大)

*ヒヤリハット:重大な災害や事故に直結する一歩手前の出来事のこと。事故や災害につながる要因を特定し対策する貴重な機会として、リスクマネジメントの観点から多くの企業から重要視されている。