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 現在の歯科治療において、患者さんの希望がより自然に見えるものへと審美的要求がたかまりセラミック全盛の時代になっていますが、1990年以前の昭和の時代に白金加金等の金合金を使用したパーシャル べニア クラウンの一形態として、M.O.D.オンレーと呼ばれる非常に優れた修復物がありました。

 咬合面の歯の欠損に対し通常インレーをいれますが、日常臨床において、その再治療で単に失われた部分を補うだけのインレーを入れ続け、挙げ句に歯髄を失うような症例を眼にすることがあります。残念ながらそのような例は枚挙にいとまがありません。

 そうならないように適切なタイミングで修復法を変更し、歯の崩壊を食い止めることができれば長期的に良好な経過を得る可能性が高まります。その修復法こそが、M.O.D.オンレーではないかと常々考えており、実際に三十数年再治療なく健康維持できているケースが存在します。

 白金加金使用M.O.D.オンレーにおける歯牙形成の基本的形態(各部名称と役割)
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①イスムス*(修復物の耐久性、保持、抵抗形態)
②機能咬頭斜面(修復物の耐久性)
③咬合面ショルダー(修復物の耐久性)
④頬側窩縁斜面(辺縁の適合性)
⑤隣接面ボックス(修復物の耐久性、保持、抵抗形態)
⑥歯頚部窩縁斜面(辺縁の適合性)
⑦隣接面フレアー(辺縁の適合性)
⑧咬合面の削除(修復物の耐久性)
⑨舌側窩縁斜面(辺縁の適合性)

 従来の白金加金使用のM.O.D.オンレーでは、金合金の特性である薄く鋳造加工した際の縁端強度や展延性を生かした歯牙形成でしたが、セラミック使用のM.O.D.オンレーにおいては審美性には優れていても曲げ強さの問題を補うため、角を作らず、軸面は傾斜を強く、辺縁部は厚く、対合歯とのクリアランス(すきま)は多く、等の要求を満たすための充分な歯牙形成を必要とします。

 セラミック使用M.O.D.オンレーにおける歯牙形成の形態に関する一提案
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①イスムス
②機能咬頭斜面
③’ヘビー シャンファー
④’窩縁斜面付与せず
⑤隣接面ボックス(角を作らず)
⑥’ヘビー シャンファー
⑦’隣接面フレアー(厚め)
⑧咬合面の削除(多め)
⑨’窩縁斜面付与せず

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DSC06071(大)

*イスムス(isthmus):根管と根管とをつなぐ非常に薄い扁平な根管のこと。または窩洞と窩洞とをつなぐ幅の狭くなった部分のこと。