
上の写真は、歯の墨汁標本です。歯の解剖学の勉強で、歯の神経(歯髄)が入っていた隙間の構造を知るため、実際の歯牙をさらし墨汁をしみこませて観察するものです。
われわれ歯科医師が歯の中の治療(根管治療)をする際、参考にすべき知識です。
その昔、歯の中の治療は神経を殺し(亜ヒ酸使用)た後、薬剤をしみこませた綿栓を入れたものでした。その後薬理性を有する糊材(ペースト)を入れた時代を経て、現在は麻酔下で神経を機械的に除去し経年劣化しないゴム様のガッタ パーチャを充填するようになって久しく、今に至っています。
以前の考え方は薬理効果を期待したものでしたが、所詮その効果はいつか消失します。今は歯の根の穴(主たる根尖孔に限らず分岐根管、側枝など)をいかに封鎖し歯の中の感染源を外に出さないようにするかが鍵になります。原因がなくなれば、歯根周囲の病巣は体の治癒力で治るという考え方です。
根管治療においてわれわれの手がおよぶ範囲は、木に例えれば幹の部分に限られますが、根の先(根尖)の毛細血管様の枝分かれ部分に関してはシーラー*の取り扱い等を工夫して極力充填を試みるようにしています。これに関しては正書にのっているものではありませんが、筆者の考えで行っておりいくつかの症例を通じ経過を追っているところです。(大)

*シーラー:根管充填時に主要な充填材と根管内壁との隙間を埋め接着させる役割をするセメント。
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