医療を受ける側(患者さん)は、はやく(早くと、速くの両方)、やすく(安くと易くの両方)、痛くなく、歯の治療を済ませたいと思っています。

 医療に携わる側(我々歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、及びその他のスタッフ)は、歯科の専門家として、悪化が予測されるならそれをお知らせし、歯の健康のためにすべきことを説明して治療の必要性を示唆します。

 やるやらない、するしないは患者さんが決めることで、依頼がなければ治療をすることはありません。

 時々、次のような患者さんが現れます。自分がして欲しい治療だけを、我々に要望するのです。しかしながら医療とは、医療従事者が自分の責任において、診査、診断し、病気が治り健康に結びつくように、行うべき行為なのです。

 患者さんは、自分が信頼して任せられる医療人を選び、医療行為を委託すべきで、納得できなければセカンド オピニオン*を求めれば良いのです。

 実際に欧州で起きた事例を紹介しましょう。ある患者さんが、こっちの歯が痛いからこっちを抜け、あっちの歯が痛いからあっちを抜け、と繰り返し希望して、その通りにした歯科医師がいたそうで、結局痛みがなくならず、歯科医師免許を失ったそうです。

 この出来事が今回のテーマ(主題、題目)への答えを、すべてを言い表しているのではないでしょうか?(大)

 *セカンド オピニオン(second opinion):第2の意見。より良い治療法を見出すために、主治医以外の医者から聞く意見。