カテゴリ:研鑽遍歴

 たとえば、1本のクラウンを入れるとき、やみくもにそのクラウンだけを調整し装着することは、けっして賢明な方法とは言えません。 なぜこのようなことを言うかといえば、過去にそういう治療を受けたとしか思えない、臨床例に遭遇することが一度や二度ではないからです。 ...

   いつのまにか総義歯の治療解説で、20回を数えることになりました。総義歯に関しすべてを網羅することは、簡単なことではないし、また私にその能力があるとも思えません。   これ以上は来院のうえでの、説明にさせていただきたいと思っています。   前述した通り、 ...

 ここでいう”調整法”とは、しかるべき手順を踏み必要な時間をかけて作成された総義歯が、一度は良好な経過をたどったのち、時間の経過とともに不具合が生じた際に行われる調整を意味するものです。 前回のブログで、総義歯を口腔内に装着した状態を、ダブルバーガーに例 ...

 口腔内に総義歯を装着した状態をハンバーガーに例え、上から、①上顎口腔粘膜/ ②上顎総義歯/ ③下顎総義歯/ ④下顎口腔粘膜という順で重なり合って、一つの構造体を形成しているというイメージを持つと、幾つかのチェック(確認)機能を働かせることができます。  ...

 総義歯は『水面に浮く舟のようなもの』だと教わりました。  舳(へ)*や艫(とも)**に人や荷物が片寄れば、そちらが水に沈み他方が水から浮くでしょうし、定員以上の人や荷重限界を超えた荷物が乗れば、舟が沈むのは自明の理です。 口腔粘膜は、頬・口唇・歯槽粘膜 ...

 前回、野球のダイァモンドを使って、顎の動かし方(下顎の運動)の説明をしました。それは普段無意識に行っている筈の顎の動きを、意図的に動かす場合のトレーニングでした。 何故そんなことが必要なのか?と問われれば・・・総義歯をまるで自分の体の一部のように違和感 ...

 これまでの総義歯治療の解説において、咬み合わせに関しては主に顎の位置(顎位、あるいは下顎位。)について述べました。そしてそれは総義歯の吸着と安定に大きく関与すると解説しました。 その際に念頭に置いている顎の動きは(実は動くのは下顎ですが…)開閉運動であ ...

 総義歯治療において、最初に為すべきこと・・・それは治療を始める前に、義歯を受け入れる側である口腔粘膜*が健康かどうかの確認と、健康でなければその治療を加えることだと思います。 そんなことは当然だと思われるでしょうが、意外にも日常見かける義歯の内面に、過 ...

 当然のことながら他の歯科治療と同様、総義歯治療においても、まず診査、診断、治療計画があってしかるべきで、その後治療説明があり、患者さんは納得すれば治療を依頼することになります。それに対し医療従事者が請け負えば、そこではじめて治療のスタートになるわけです ...

 治療用義歯の粘膜面(内面)全体にティシュー コンディショナーを使い、適切に交換していくと口腔内の粘膜全体が、義歯が強く当たった圧痕などなく、ただれや赤みなどの炎症も全くない、あたかも赤子の口の中のごとく、きれいで健康な状態になります。 その健康な口腔粘膜 ...

 前回、総義歯が吸着するメカニズム(機構。仕組み。)に言及したなかで、吸着を台無しにするのも下顎位(顎の位置。)なら、また後押しして確固たるものにするのも下顎位であるという話も合せてしました。   私が過去に実際に治療した、総義歯の患者さんとの臨床経験のな ...

 総義歯が歯肉と吸着(吸いつく。)する為には、実はいくつかの理由と条件があります。けっして”糊(のり)”を使うわけではなく、入れ歯安定剤のお世話になるわけでもありません。 冷たい飲み物等が入った汗をかいているグラスを持ち上げると、いっしょにコースター(コ ...

 1982年にS市のA先生から講義・実習コースで学んだ、総義歯治療における治療用義歯の活用は、斬新なアイディア(思いつき。着想。考案。)に富んだ、きわめて興味深いものでした。 当時私が卒業して2~3年の右も左もわからぬ資格だけある歯科医師でしたが、常に先 ...

 前回、総義歯製作にあたり歯を並べるには、もともと歯があった所に並べるというお話しをしました。それを推し量るためには、幾多の研究論文の中から教えを乞う必要があります。 具体的な方法としては、スタディー モデル(研究用石膏模型)を作製・観察し、歯が無くても軟 ...

 総義歯製作および調整において、部分入れ歯のように残存歯がある場合と異なり、どこに歯を並べるのかは、ある意味で自由に選べることであり、また別の意味では基準がなければわからないことでもあります。 これに関しては諸説があり、言わば総義歯製作を担当する歯科医師 ...

 日本において、その昔、歯科医師国家試験などなく、義歯を作る者が歯科医師のようなことをやっていた時代があったと聞いています。つまり歯科技工士と歯科医師の区別がなかったということなのでしょう。 明治以前、歯が無い人たちの中でおそらく地位の高い一部の人たちだ ...

   以前にも申し述べましたように、S市のA先生にはさまざまなことを習いましたが、今回のテーマ(主題。題目。)に関しても、ユーモア*とアイアニー**にあふれた解説をしていただいたことを、今でも昨日のことのように憶えています。   難症例というと、誰もが歯槽 ...

 総義歯治療の場合、実はそれが言わば、”リハビリテーション*医療”であることを理解していただかなければなりません。 歯がないということは、食べられない/ 話せない/ 口元の表情構成が不自然/ 人と同じ物が食せない為に同じ食卓につけない/ 食事中に義歯が緩 ...

 患者さんが受け容れる総義歯とは、いかなるものでしょうか? なんでも患者さんの要求どおりに作り、且つ調整することなのでしょうか?   患者さんは来院当初、ほとんどの場合、物が噛めれば/   歯肉が痛くなければ/   義歯がガタガタせず歯肉とくっ付いてくれれば ...

 先の大戦の敗戦後、東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)になり、ようやく留学や移住を目的とした海外渡航が自由化されました。つまりそれまで、海外の優れた知識や技術を直に学びたくてもできない、言ってみれば鎖国の状態だったわけです。   その自由化に伴 ...

 思い起こせば、私が総義歯の勉強をしようと思い立ったのには理由がありました。父の早世後10年余り経ち、歯科医師として三代目である私が開業するにあたって、患者さんの要望に応えられないという事態・・・ 例えば『その治療は出来ません。』とか、『大学病院に行って ...

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